コピー機 レンタルへのこんな質問
コミュニケーションは、いろいろな役割分担に分けて考えられるということ。
この「役割」は、必ずしも物理的な役割ではなく、抽象化した役割ですが、とにかくいくつかの役割が組み合わされてコミュニケーションが成立していると言えるわけです。
もうひとつは、その役割を見た場合、コミュニケーションは対称に考えることができるということです。
先ほどの例であれば、空気の振動を中心に、声帯と鼓膜、発声と聴覚、音声、言葉、意味という役割は話し手と聞き手の双方に対称の役割があります。
これを、逆から考えるとひとつまり、実際にあるコミュニケーションを分解するのではなく、なにもないところにコミュニケーションを作り出そうという側から考えると、役割分担をどう対称に割り振るか、そして対称な役割分担を与えられたもの同士のあいだをどうつなぐか、ということになります。
ここで気かつくことは、人が直接話すというコミュニケーションは、あいだにある空気が支えているということです。
これは、コンピュータ・コミュニケーションでは「通信の基盤」にあたります。
通信の基盤というのは、電線や、光ケーブル、または電波であったりします。
人間のコミュニケーションと、電子的なテクノロジーが関わったスタートは、二人が離れていった場合です。
最初にマイクロフォンと拡声器を使うことによって、空気の震えに関わる部分にテクノロジーを援用したわけです。
これで、コミュニケーション可能な範囲が広がりました。
やがて電話の通信網ができて、飛躍的にコミュニケーションの世界が広がりました。
このように人間のコミュニケーションを、テクノロジーがだんだんと強く支援していくようになります。
この過程が進んで、いまコンピュータ‥ネットワークができてきたわけです。
したがって、コンピュータ‥ネットワークも、人間のコミュニケーションのそもそものメディアとしての可能性構造に立ち返って、見ることができます。
そのおもしろい一例として、ここで、イーサネット(Ethemet)という技術の仕組みに少し立ち入ってみることにしましょう。
この技術は、いまではローカル・エリア・ネットワーク(LAN)において、完全に標準となっていますが、その第一歩は人間のコミュニケーションについて、それまでの技術とは違う新しい考え方を採り入れたことから始まりました。
そしてそれが、今日のコンピュータ‥ネットワークにつながっているのです。
イーサネットという技術イーサネットは、そもそもはハワイ大学がアロハネットというコンピュータ‥ネットワークを作ろうとした時に出されたアイディアをもとに、ゼロックスのパロ・アルト研究所のボブ・メトカルフェが、―九七九年に理論化した考え方です。
ハワイ大学は、キャンパスが島々に分かれています。
この、分散したキャンパスのコンピュータが、対称に公平にコミュニケーションできる仕組みをつくる必要がありました。
島々のあいだにケーブルを張れればよかった―現在は光ファイバーケーブルが張られていますが、当時はそれは困難なことで、無線、つまり電波を使うしかありませんでした。
電波というのは、ひとつの周波数を使えば、そこで流れる内容はみんなに同時に聞こえます。
同時に聞こえるのはまだよいのですが、何人かが同時にしゃべるとぶつかり合って聞こえなくなってしまうという短所があります。
この意味では電波を使うコミュニケーションは、空気を用いた、人間の根本的なコミュニケーションと非常に似ているのです。
アロハネットが電波を使わなければならなかったためにこの問題に直面し、研究・開発をすることになったのですが、それをヒントにメトカルフェが、電気的なケーブルを使って同じことが可能かどうかという方向に研究を発展させたところが、イーサネットの足どりのおもしろいところです。
ここで開発されたCSMA/CD(キャリア・セJス・マルチプル・アクセス/コリジョン・ディテクション)というメカニズムが、後のコンピュータ・コミュニケーションの技術にたいへん大きな影響を与えたのです。
メディアとしての可能性CSMA/CDの考え方その仕組みを簡単に見てましょう。
達成したい課題は、たとえていえば--亮土気中の人間のコミュニケt.ションと同じモデルですからひとつの部屋にたくさんの人がいて、それでいて、任意の一対一でほかの人を気にせず自由に話ができる環境が作れるか、というようなものです。
それを、こういう形で解決できないかと考えたのです。
ある人が誰かに話したいと思ったときに、まず、部屋のなかで誰もしゃべっていないことを確認する。
これが「キャリア・センス」の部分です。
そして、もし誰もしゃべっていなかったらしゃべりはじめる。
それは誰がしゃべりはじめてもよい。
特に誰かだけがしゃべってよいという許可をあたえられているわけではありません。
すると、ときにはたくさんの人が同時にしゃべりはじめたりする。
「マルチプル・アクセス」です。
そしてしゃべってみて、もし声がぶつかり合ったら、「あ、ぶつかった」とぶつかったことをぶつかりあった全員が認識します。
これか「コリジョン・ディテクション」。
そこでぶつかりあった各自がやおら懐から、サイコロを出して振り、各自、出た目の数だけ待つことを決めて、もう―度最初から話し直す。
こういうことを繰り返していくのです。
誰もいなかった場合にはしゃべれる。
もしそのときぶつかり合ったとしても、その次、目の数だけ待ったあとには、―度ぶつかりあった人たちとはたぶんぶつかり合うことはない。
ひょっとすると、ちょうどそのときに初めてしゃべろうとする人とぶつかるかもしれないけれど、そこは確率の問題で、たぶんぶつかり合わないだろう。
もし連窓くまたぶつかったら、またサイコロを振る……。
こういうふうに、しゃべる単位を限定することによって、―本の電線でも、ある程度の効率で全体が一対一でしゃべれる。
これはたいへん大きな意味のある技術です。
一本の電線の上にいろいろなコンピュータをつないでも、―対一で正しくコミュニケーションできるということですから。
この技術が学会で発表されたとき、多くの学者は、こんな仕組みがうまく動くわけがない、みんなが―斉に話しはじめたらぶつかり合ってしまうから性能が悪い通信システムで、実用にはならないのではないか、などと言われました。
しかしメトカルフェは、このアイディアをもとに、―本の電線上でコンピュータが高速にメディアとしての可能性話すことができるという、イーサネットのもとになるメカニズムを発表したのです。
そのときに統計的な確率論を使うのではなく、むしろ実際にこの程度のデータ、この程度の同時のぶつかり合いで、こんなコミュニケーションをして、このぐらいの人が同時に話す、ということを前提にすれば、このぐらいの性能が出るはずだということをシミュレーションする方法で、理論を打ち立てた。
こうして一本の電線で複数のコンピュータが通信できる技術が確立されていきました。
イーサネットにはほかにも技術的におもしろい考え方が入っているのですが、いちばん大切なことは、全員が一斉に話したらたぶん動かないだろうが、実際に人間が使っていくようなコミュニケーションは、分散することが予想でき、それに基づけばある程度の性能が得られる。
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